(文こばようこ)
4。
現場にもどりましょう。
轟音と共に、印刷機から排出された最後の試し刷り。
見本は2枚くらいでいいんだけど
インクがなじむまで数十枚出す。
用紙は両手を広げて持つくらい大きいです。
一枚に16ページ分のページが印刷されるからです。
それが、紙をセットした
遠く20Mくらい先から
超高速スピードで
印刷機の中を何度も通って
こっちにやってくる。
あっという間に束になる。
印刷機に連動している、大きな作業台に広げて
色の具合を見ます。
薄暗い工場の中で
ぽわっと照らされる作業台は
イメージ通りの印刷屋さんです。
作業台の手元には
なにやら沢山のゲージのような物があります。
そこでCMYKそれぞれの色を
操作するらしい。
編集Kさんが
前回オッケーをだした色校片手に
じっと見ています。
インクは気温、湿度によっても調子が違うので
色校と同じように印刷される訳ではありません。
それから、印刷所の人にいろいろ言い出しました。
「ここの、ここの所、M(マゼンタ)をちょっと抑えてもらえますか」
「このページはいいんですが、
対になるページと空の色が合うかしら」
印刷所の人達といろいろ相談して
印刷所の人が沢山のゲージのボタンを操作します。
で、また轟音と共に
試し刷りが大量にでてきます。
で、また作業台集合をして
刷り直したうちの一枚を
Kさんが色校片手にじっと見るのです。
今度は私達も呼ばれました。
「どう思われますか〜?」
いや、どうもこうも。
私にはとても良く出てるようにしか見えないんですけど。
・・・強いて言えば、
ちょっと黄色っぽいか・・・な?? くらいです。
するとKさん
「そうですよねー。ここちょっとイエロー抑えてみてくれますか?」
印刷屋さん
「そうですねー、するとこの上に当たるページにも影響してきますねー」
Kさん
「こっちに影響きますよね。こばさんはどっちをおとりになりたいですか?」
・・・いや、どっちも綺麗な色でてると思います・・・。
・・・決められないので・・・お任せします・・・。
それから轟音→作業台集合を何度も繰り返し
ようやくKさんの「オッケーです」のお言葉が。
うやうやしく赤ペンで「OK」サインか書かれます。
試し刷りがこんな大仕事だと思ってなかった私は
「こんな感じで結構です。お手間おかけして本当にスイマセン」
と言いたいのですが
それが妥協ということになるのです。
それでは、いい本にならんのです。
私に編集の仕事は向きません。 (続く)
↑お土産でもらってきちゃった「帯」の部分。
製本所で裁断されて絵本に巻かれます。
なんかドル札印刷みたいです。
怪しい金持ちの気分を味わってみたりして。